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「遺言」というと、大富豪の「遺産あらそい」や、連続殺人事件をひきおこすサスペンスドラマが連想されるようです。そして、おおきな財産をもたないじぶんたちには、あまり関係のない話であるかのように思われています。
しかし、どんなひとでも、それなりの財産がのこっているはずです。じっさい、相続にからむ「お家騒動」は、一般化し、日常化し、他人事ではなくなっています。
また、死者の配偶者や、死者に扶養されていたひとが、死者の死後、生活の場をおわれたり、生活の財をうしなったりするケースも、ひんぱんにおこっています。
これらの悲劇は、多くの場合、「ひとことの遺言書」さえあれば、かんたんにかたづいていたことなのです。
日本人は、「死」へのきょくたんな恐れから、死を連想させる遺言をきらい、さけてきました。しかし、「遺言」をただしく知ることによって、対処していただきたいとおもいます。
また、ぎゃくに、遺言しさえすれば、なんでもできると思っているひともいます。商売のノウハウから後継者の指定、配偶者の再婚のこと、息子や娘の結婚あいてのこと、さらには、じぶんの葬儀やお墓の指定など「遺言書」としてかかれてもまったく意味がありません。法的には、「遺言」ではないのです。遺言は、きわめて強い力をもった法律行為です。それだけに、きびしいルール必要になります。これらの過ちの原因は、遺言の知識不足とテレビドラマや雑誌の記事の影響にありそうです。
ちょっとしたことで、せっかくの遺言が無効になってしまったり、意図したことと逆の結果になってしまったのではたいへんです。ですから、「遺言」についてあらかじめ必要な知識をもっておかなければなりません。
そのため、ふだん法律とはあまり深い関係のないかたがたに、「遺言の基礎知識」をやさしく説明しようとして、まとめたのがこの本です。
疎通が叫ばれて久しい毎日です。その証しとなるべき良書である、と確信を持ってこの本を推薦する次第です。
櫻井圀郎(さくらい くにお)
1947年三重県生まれ。名護屋大学法学部 同大学院法学研究科博士課程(民法専攻)、東京基督神学校、クラー神学大学院神学研究科(組織神学専攻)
現職 東京基督教大学教授
著書 『広告の法的意味』(勁草書房)、『日本宣教とキリスト教の用語』(訳書/いのちのことば社)、『遺言の基礎知識』(いのちのことば社)、『混迷の中のキリスト教』(共立APVセンター)、『大学とキリスト教教育』(共著/ヨルダン社)、『キリスト教弁証学入門』(訳書/いのちのことば社)ほか。
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